法務関係のお悩み

退職したいのに上司が許可を出してくれない。これってどうなの?

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地域関係なし

お名前

弁護士 宮内裕 様

経歴

平成10年 4月 大学卒業後、福岡県庁に行政職として入庁。
平成19年 3月 福岡県庁退職。
平成19年 4月 九州大学法科大学院に入学
平成22年 3月 同大学院修了
平成22年 9月 新司法試験合格
平成22年11月 最高裁判所新第64期司法修習生採用を経て1年間研修
平成23年12月 弁護士登録。
平成24年 1月 福岡県内の八坂法律事務所にて執務開始

公務員か転職や独立起業する際には様々な悩みがつきものです。そんな悩みを元福岡県職員で、現役弁護士の宮内さんのご協力を得て、アドバイスさせていただく公務員プラス法律相談です。

今回の悩みはズバリ、「退職したいのに辞めさせてくれない」です。

 

【ご相談内容】

お名前:nao_ko 様

現在のお仕事:地方公務員事務職

年齢:20代半ばの女性

相談内容:
以前から音楽業界で働きたいという夢があり、今ならまだ退職できるかもということで今年夏で退職しようと考えています。
ただ、小さい市ですので辞められると業務に支障がでるからと職場の上司などが辞めさせてくれません。

民間ですと1ヶ月前までに退職したい旨を言えば絶対に辞められると何かで読んだことがあるのですが、公務員の場合はどうなのでしょうか。半強制的に退職できないことなどあるのでしょうか。





【回答・アドバイス】


民間企業の場合の退職の場合は、労働者からの辞職の申し入れの効果は、民法627条に従うものと考えられていて、期間の定めのない労働者(通常のサラリーマンのようなケースです。)で1ヶ月ごとに給与が支払われている場合には、解約の申し入れは当期の前半にしなければならないとなっていますので、半月前に退職の意思を表示すれば、当期の終了時点で労働契約は終了することになります。

これに対して、公務員の場合は、労働契約ではなく、任用されて公務に就いています。
そして、公務員の勤務関係は、行政処分により消滅し、申し出を承認した任命権者が退職処分を下してはじめて勤務関係が消滅することとされています。

したがって、任命権者の承認がなければ退職はできないということになりそうです。   
しかし、公務員といえども労働者ですから、意に反して労働を強制されない権利を有することは当然です。辞職願を提出後、臨時職員を任用したり、他の職場から応援体制を作るために必要と考えられる合理的な期間(通常は1月程度でたりると思いますが、特別な職種の場合はもう少しかかるかもしれません。)経過後は、無理な引止めは損害賠償の対象となる可能性があるものと考えられます。
私の経験上、いきなり一人抜けて業務の遂行ができなくなる職場はそうそうないので、現実に退職願を提出されれば、それが通らないことはないような気がします。
 



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