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【元支援機関員が語る起業情報 No.1】 起業の様々なスタイル。「細く長く」か?「一発勝負」か?

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元中小企業支援機関員 川田康平 様

  はじめまして川田康平です。私は公的な某中小企業支援機関の職員として、中小企業や起業されたばかりの企業の支援に5年ほど従事し、昨年退職しました。

今回から【元起業支援担当の情報在庫処分】というタイトルで、起業/創業/開業に関する情報や準備しておいた方がいい事柄、支援機関にいた頃のウラ話などを、記憶から消える前に知っている限り出し尽くそうということで、当時を思い出したり調べたりしながら全20回ほど記事を書いていきます。

まずはテーマ本編の前に、「情報収集の前に 〜自身の起業スタイルをイメージ〜」ということで、これから起業(※いろいろ言い方がありますが、ここでは「起業」に統一します)に向けて準備中の方や、将来に対する迷いの中で起業という道もアリかなぁとおぼろげに考えている公務員な皆様に、(できたらネットや本で起業の情報に触れる前に)やっていただきたいことを手始めにお話します。

 

<起業といっても様々なスタイルがある>

 本サイトでも様々な「公務員からの独立・起業」経験談がありますが、みなさまそれぞれにスタイル(考えや起業感、将来の構想など)が違います。

資格を取って専門家/コンサルタントとして活躍されている方、会社を設立して従業員を雇用しビジネスの規模をより大きくしようとしている方、店をオープンし「一国一城の主」となっていきいきと仕事をしている方などなど。そしてここでお話ししたいのは、こうしたスタイルの違いによって、始めるにあたって仕入れる情報や段取り、手助けしてくれる人や企業が変わってくるということ。


例えば、

「上司とかクレーマーの顔色うかがいながら…ってのは正直ウンザリなんで、自分のペースで食べていけるくらいの…」

というスタンスで起業を考えている人を、VC(ベンチャーキャピタル:投資した企業を上場させたり、転売して利益を得る)の人達は相手にしませんし、その逆もしかりです。


 世の中、うまいこと棲み分けができていますね。で、なぜこういう話をするかというと、「自分のスタイル」に合わない情報や人脈作りを深く考えず闇雲にしてしまう人を支援機関にいたときによく見ていたからなんです。

だからこれを機にまずはやっていただきたいのは、(本当に起業する/しないはともかくとして)するならばどのようなスタイルで起業をしようかといったイメージをしておいてほしいということなんです。

イメージが湧かない/おぼろげすぎる場合は、「近い人(マーケティングの世界ではベンチマークとか言ったりします)」を本サイトやネット(社長/経営者ブログとか特にいいかも)で探すというのも手です。
昔、受験勉強のモチベーションを高めるために「…受かったらアレして、コレして」とか考えていたのと同じようなものかもしれませんね



<大まかにはこんな感じ!? 様々な起業スタイル>


 本サイトの経験談を見ても分かるように起業といっても実際千差万別なんですが、それでも情報収集/準備に関してはある程度スタイルを類型化できるかなとまとめてみたのが以下の表です。





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうです?だんだんと「自分が起業したときのイメージ」が見えてきましたでしょうか?

なお一番右側の列には、こんな感じのキーワードで検索するといい情報が見つかるかもというのを載せているので、そこから芋づる式に具体的な方向性が見えてくるかもしれません。

 






では本題。
今回から3回にかけて3回にかけて【どっちを選ぶ? 起業のカタチ別 特徴と注意点】ということで、対極的な起業のスタイルを並べて、それぞれの特徴や注意点、方向性を決める際のポイントなどを解説していきます。まずは今回は1回目です。



<⒈「細く長く」か?「一発勝負」か? >

 では最初のテーマ【「細く長く」か?「一発勝負」か?】についてお話していきますが、企業経営で言うところの理念とかビジョン、事業ドメインとかにあたる、実は重たいテーマです。

大体起業希望者って、やろうとしている仕事そのものしか見てないことが多く、どういう会社にするか/個人事業主としてどう生きるかとかの視点が無いんですよね…



<細く長く型(身の丈起業)>

◆特徴/注意点:

・リピート客を大事にする(そこから生まれる様々なしがらみとどう接するかがキモ)

・無理して拡大路線を進めない(ので急成長するコトはほぼない)

・商売が上手くいくと、手堅い(一方硬直化し、時代に取り残されがち)


公務員なみなさんの場合、こっちの方が現業に近いと思います。
ホントに気を付けていただきたいポイントとしては、急成長するコトがほぼないので、取り急ぎまずは妄想や夢は置いておいて、あらゆる手段を使って「潰れない体制・仕組み」をしっかり作り軌道に乗せることです。

実際、軌道に乗らないまま失速して消えていくというケースの方が多いんです。で、起業家や経営者はそうならないように勉強したり、様々なことを試したり、コンサルタントやメンターにアドバイスを求めたりということを日々暗中模索しながらやっているんですよ。

ちなみに「社長ってどういう仕事するの?」という疑問がある方は、特に「軌道に乗せるまでに何をし、どう考えていたか?」という部分を、まず知り合いの経営者や経営者の本など先人の智恵に触れることをオススメします。




<一発勝負型(ベンチャー起業)>

◆特徴/注意点:

・スケール感のあるビジネスを選び、ヒトモノカネなどの経営資源を一気に投下、利益を得る

(経営センスやカネに関する嗅覚が無いなら、やめておいた方が…)

・上場やバイアウトなど事業のゴールシナリオを設定している所が多い

(ゴールありきで動くため、しわ寄せがヒトに…世間的に「ブラック企業」と言われる会社が多いかも)

・似た業種の経営者達との交流が多い
(参考になることも多いが、そこからはイノベーションは生まれづらい)


今の職場の閉塞的なところや、意思決定の遅さが嫌な方には理想的な感じに映るかもしれませんね。
で、こちらのポイントとしては、出来たら一度「これは」と思えるようなベンチャー企業で実際に働いて見た方がいいということ。

理想を言うと、その企業で実績を上げて、そこから分社化・またはその企業での社内ベンチャーの形で起業するなど、(ただでさえリスクの高い世界なので)リスクヘッジをして欲しいところです。


もうちょっと現実的なところでいうと、公務員をしながらでもこうした経営者の集まる交流会や会合・勉強会などに潜入してみるとか、(ブログやTwitter、Facebookなどをやっているベンチャー社長は比較的多いので)フォローしたり友達申請するなどで様子を知ることはできますよ。
※元公務員、裸一貫でベンチャー起業は基本的にはオススメしません。正直あまりにも違いすぎるので…。




<細く長く型か?一発勝負型か? 方向性を考える際のポイント>

 ここまで、対極的な2つのスタイルについて解説していきましたが、どちらが向いているだろう?どちらを選んだ方が自分にとって正解なのだろう?と考えるにあたってのポイントを3点ほどご紹介します。


・養うべき家族(子供・親など)がいるか? 大きなローン(家など)を組んでいるか?
→リアルに生活の部分を考えると、本人の問題だけではなく、親の介護とか子供の給食費などを例にあげるまでもなく
「不安定な収入」は家族にも大変な思いをさせてしまいます。こういう人がベンチャーをやってコケると、
ここではとても書けないような悲惨なことになります。

・やりたがっている事業そのものの寿命は?
→これはまず本人だけでは冷静な判断ができないので、第三者に聞いてみるといいでしょう。
短いようなら「細く長く」がそもそも成り立ちません。

・本質として 仕事そのものがしたいのか?/ 社長になりたいのか?
→やろうとしているその仕事を10年・20年と続ける気力と覚悟があるかどうか。
実は創業して3〜5年の経営者の大きな悩みの一つが「マンネリ」だったりします。



やりたい事業のことだけではなく、こういった視点で自分なりの「起業」についてシミュレーションすることは、 とーっても重要です。だってその辺も含めて「生活」の一部ですから。

…そういや支援機間にいたころは、この手の話を聞いて起業を諦めた方、よくいたなぁ。。

ということで今回はひとまずこのへんで。






【著者プロフィール紹介】

公的な中小企業支援機関の職員として、中小企業や起業されたばかりの企業の支援に5年ほど従事し、昨年退職しました。 「小さな成功事例の積み重ね」が成果を生むという考えをベースに、「創業・新規事業開発」「マーケティング」「Web戦略」などのテーマで、セミナー・講座の企画に従事。起業家からの相談に答えていると次第にヒートアップし口が悪くなるのが玉にきず。

  ・好きなもの : 真っ当なビジネス、素直な姿勢、すぐ動く行動力、
 ・キライなもの : 偽コンサル、詐欺、セミナーマニア、かぶれがちな人、各種しがらみ


 現在は起業に関する情報や準備しておいた方がいい事柄などの知識はほとんど封印し、畑違いの業界で日々修行中。


 



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